サルでも分かる、ボケってなに?〜初級者編

公開日: : 最終更新日:2014/08/11 ブログ, 写真・カメラ, 開発・自作アプリ

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こんにちは、そろそろ長袖かなと思っている Iwasaki です。
今回は、Q&A形式でやってみることにしました。

Q:ボケってなに?

A:ボケとは、加齢とともに脳の機能が低下してですね、、、 じゃなくてぇ〜!(ありがちなボケ)

ここでいうボケは写真用語のボケです。英語圏でも、なんとBokehっていう言葉でちゃんと認知されているんです。知ってました? 私は最近まで知りませんでした。
  
モデルさんなど、メインの被写体(主被写体)にピントを合わせたとき、その前後にある物体はピンボケになります。背景のボケを後ボケ、前景のボケを前ボケといいます。
  
  

Q:ボケないほうがいいんじゃね?

A:確かにそういう考え方もあります。画面に写っている被写体すべてにピントが合っているほうが情報量としては多いですからね。そういう表現方法をパンフォーカス表現といいます。風景写真でよく用いられる手法です。
  
しかし、人物などの主被写体を、より集中して見てもらいたいとき、背景にあるゴチャゴチャした写り込みが目障りっ!ってことありますよね。

背景をすっきり整理する方法としては、物が少ない背景を選ぶ方法の他に、背景をボカしてしまう方法があります。これがボケ表現です。ボケ表現によって主被写体が浮かび上がり、幻想的な写真になります。
  
この手法を意識的に活用しはじめたのは日本の写真家といわれています。誰かは知りませんが Good job !
  
実例として、稚拙ですがこちらをご覧ください。

B43T5635s

B43T7062s

  

Q:ああ、あれね、かすんで滲んだようなメルヘンチックな写真のことね?

A:似てますが違います。それはソフトフォーカス表現といいます。球面収差の大きなレンズや、パンストみたいなフィルターを使うことで、ピントはモデルに合っているのに、周りにうっすらニジミのある写真が撮れます。レンズに息を吹きかけて曇らせて撮っても、同様の効果があります。この表現法については今回はスルーして、また別の機会にでも。
  
  

Q:どうやったらボケるの?

A:ピントを合わせたい主被写体と、ボカしたい背景が前後に離れていることが最低条件です。両者の距離が大きいほどボケも大きくなりますが、距離に比例するほど単純ではありません。
  
次に、レンズの絞りが開いているほど大きくボケます。カメラに絞り優先オートの機能があれば、絞りを自分でコントロールすることができます。

絞り具合はF値で表されますが、F値が小さいほど絞りは大きく開くことになり、ボケも大きくなります。
  
また同じF値なら、レンズの焦点距離が大きいほど、大きくボケます。広角レンズよりも、望遠レンズの方がボケ表現には向いているわけです。
  
  

Q:撮像板サイズ(フォーマット)も関係あるんじゃないの?

A:答はYesでもありNoでもあります。でも本質的にはNoです。基本的には撮像板は関係ありません。これ、誤解している人がすごく多いんですよね。
  
写真の像はレンズが作ります。撮像板は記録するだけ。サイズが変わると写る範囲が変わるだけで、ボケの大きさまでは変わりませんよね。

じゃあ何故、誤解している人が多いかというと、レンズの焦点距離にだけ、35mm判換算値*を使うからです。
* 35mm判とはフィルム時代の代表格で24x36mmの画面サイズ。
  
たとえば Panasonic のフォーサーズ判は撮像板サイズがほぼ半分なので、フルサイズ(つまり35mm判)の標準50mmF1.4と同じ画角のレンズは 25mmF1.4 です。これをカタログでは、f = 25mm(35mm判換算:50mm)などと表現します。

ところが、F値は換算しないままなのでF1.4と思ってしまいます。そうすると50mmF1.4と誤解して、同じ焦点距離とF値なのに、ボケ量はフルサイズのときより小さいなぁ、となってしまいます。

それで、撮像板が小さいとボケも小さくなるという誤解が生まれるんです。

実際のレンズは25mmですから、ボケも25mmF1.4のレンズ相応なんです。決して50mmF1.4と同じボケにはなりません。

しかし、いろんなフォーマットが乱立している今、換算値を使わないと不便ですよね。そこで、いい方法があります。F値も同じ2倍にした換算値を使うんです。つまり、25mmF1.4(35mm判換算:50mmF2.8)となるわけです。メーカー側は暗いレンズってバレるのがイヤなのか、使いたがらない
ようですが…

あ、ここで最初に書いた「答はYesでもありNoでもある」のYesについて。

撮像板サイズが小さいほど、同じ画角なら焦点距離が短いので、結果的にボケも小さくなります。また、同じF値でも、小さい撮像板では換算すると大きなF値になるのでボケは小さくなります。結局、撮像板が小さいほどボケも小さくなる傾向があるのでYesなのです。

ただし、あくまでも結果論であり、真の原因はレンズです。
 

長くなりましたので、今回はここまでです。

次回は、以下の話題をお送りします。ご期待ください。

Q:ボケの大きさって、どうやって測るの?
Q:見かけのボケ円径を簡単に計算する方法ってあるの?
Q:有限距離のボケ円径も計算できるの?

 

今回のまとめ
・ボケ表現という写真手法がある
・ぼかしたいなら、長い焦点距離、小さいF値、背景を離して
ボケはレンズのみで決まり、撮像板サイズとは無関係!
・焦点距離を換算するなら、必ずF値も換算する

 


ボケ予測Pro 1.0(¥300)
カテゴリ: 写真/ビデオ, ユーティリティ
販売元: Masayuki Iwasaki(サイズ: 1.2 MB)

 

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Comment

  1. andantino190 より:

    おおおおおお 面白そうなネタありがとうございます。
    続きが楽しみです。
    特に、有限距離のボケ円形の計算とか、
    焦点距離によってどのくらい遠ければ無限遠とみなしちゃっていいかなーとか興味津々です。
    ((o(´∀`)o))ワクワク

  2. Iwasaki より:

    興味もっていただき嬉しいです。
    次回は面白いと思いますよ。
    明日あたりアップできたらしますね。

  3. おおー!
    ナイスな記事ありがとうございます。

    うわーこれを機会に勉強しよう。
    とりあえず、「外人さんに『このボケェ!』って言うのは危険」と。
    メモメモ(^^

    これからも楽しみにしてまーす!

    • Iwasaki より:

      英語のBokehには写真ボケ以外の意味ありませんから大丈夫かも。
      いやいや、このピンボケ野郎って思われるかな。

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