なんと! App Store の iPhone 有料アプリ国内市場はここ1年で半分以下に縮小!?
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こんばんは、解析大好き Iwasaki です。
今回は、iPhone 有料アプリのマーケットが急速に縮小しているという、開発者の皆さんにとっては非常に厳しいお知らせです。薄々感じておられた方も多いと思いますが…
なぜ、そんなことが分かったのか?
拙作アプリ「順位<>売上」のための元データを得るために解析をしていて分かりました。
このアプリは、主に開発者がストアのランキングからダウンロード(DL)数を推定するアプリです。順位が急上昇したとき、アップルのDL数レポートが閲覧できる翌日の午後8時頃まで待てなくて、およそのDL数を知りたい!というときや、人さまのアプリの順位からDL数がどれくらいかを知りたいときなどに使う「取らぬ狸の皮算用」アプリです。逆にDL数から順位を推定することもできます。
このアプリを使って推定を行うには、データ欄と呼ばれる上段エリアに2組の順位、DL数を手入力する必要があります。この4つの数値を元にアプリが両者の関係式を導き、中段の推定欄に順位を入力すると、その関係式から得られるDL数の推定値を表示してくれるというわけです。
ポイントは、いかに正確な元データを入手できるか、に尽きます。
このアプリを作っていた2012年8月ごろ、自分が持っているデータをかき集め、また知人からデータをいただいたりして、様々な国、カテゴリーでの2組の元データの一覧表を作り上げました。それが、サポートページの表です。もちろん、個人の力では限界がありますので、抜けはたくさんあります。また、どのような考え方・計算をしたのかに興味ある方はこちらをご覧ください。
ストアの市場規模は日々変動しますので、この元データも頻繁に更新・充実していく必要があります。そこで、私の力では足りない部分をユーザーさんに手助けしてもらおうと考えました。差し支えないよう加工されたデータを、アプリ内のTweetボタンから、ハッシュタグ付きでツイートしてもらう方法です。しかし、アプリ自体がヒットしなかったため、データは大して集まりませんでした。
そうこうするうちに1年近くが過ぎて、先日、開発者仲間の知人から上位のデータをいただく機会がありました。さっそく私の下位のデータと合わせて解析し、サポートページに追記しました。
追加した部分をお見せします。
最初の数字が 1位を獲得するのに必要な1日のDL数、次の数字が100位のDL数、最後がデータの年/月です。1行目と3行目が ’13/07 の最新データです。2行目と4行目は ’12/08 つまり1年ほど前のデータです。
新旧を比較すると、総合有料においても仕事効率化カテ有料においても、同じ順位を獲得するのに必要なDL数が、この1年足らずで半分程度またはそれ以下になっていることがうかがえます。
つまり、市場規模が半分以下に縮小していると推定されます。
実はこのアプリ、カテゴリー全体のDL数、つまり市場規模を推定することもできます。中央付近の [Total Sales] という項目です。
データ欄に去年と最新のデータを入力してみると、総合有料においては、100000 DLから49000 DL(上の画像)に減っていますし、仕事効率化においては、14000から4700に減少していて、やはり半分以下に縮小したことが推定できます。
もちろん、以上のことは、私の限られた手持ちデータからの結論ですので、絶対とは言えませんし、どの程度正確な推定値なのかも微妙です。
この件に興味のある開発者の方は、上の最新データをアプリ「順位<>売上」のデータ欄に入力し、最近経験された順位を推定欄に入れてみて、推定DL数が実際のDL数に近いかどうか試してもらって、差し支えなければ結果をご一報いただければ幸いです。
さて、なぜこのような急速な市場縮小が起きているのでしょうか?
iPhone ユーザーは増え続けているはずなのに…
理由はいろいろ考えられます。
1. 無料 + アプリ内課金型アプリが浸透した
2. 無料 + 広告型アプリが多くなった
3. 新規 iPhone ユーザーの流入が少なくなった
4. 新規ユーザー層は有料アプリを買わない傾向が強い
どの理由が有力なのか、あるいは他にも理由があるのか、今のところ分かりません(詳しい方がおられましたら、教えていただければ幸いです)。
私としては、開発者間の競争(無料化)が、逆に自分達の首を締めた結果でないことを願うばかりです。
なぁんて思ってたんですが、この記事やこの記事やこの記事を読んだ後では、はるかにこれらの方が的をえてる気がしてます(2013/07/20 追記)。
てことで、ではまた!
2013/07/19 追記:
今朝、「やまもといちろうBLOG」で紹介されて、それはそれでありがたいんですが、その記事の中で「なぜか有料アプリのダウンロード数が金額、件数ベースで減少したのでiOS市場が減少した、という推測になっているようですが」と、iOS市場全体が縮小したと私が推測していると誤解されているようです。
タイトルを短くしたくて 「iPhone、有料アプリ」を入れなかったのは、私のミスで誤解を招く表現でした。お詫びして訂正します。ただ、本文を読んでいただくと、冒頭に「iPhone 有料アプリのマーケットが急速に縮小している」と書きましたように、iPhone 用の有料アプリに限定してることは明白です。iPad アプリのデータは持っていませんし、iPhone 用にしても、アプリ内課金や無料アプリ広告収益の動向については言及していません。したがって、有料アプリのDL数が減った以上に、アプリ内課金や広告からの収益が増えていれば、iPhone アプリ市場全体としては、成長が続いていることになります。このあたりについては、今後調べてみたいと思っています。
また、限られたデータと独自の推定法で出した数値なので、自分で書いてるとおり微妙で、その点はやまもとさんの「微妙な記事」という表現は甘んじて受け入れますw ただ、記事に対して沢山の開発者から反応をいただき、その多くが縮小傾向を肌で感じていたという意見でしたので、縮小傾向についてはほぼ間違いないと思っています。
これまでTwitterでいただいたコメントの一部を拾ってみました。
・有料アプリ市場の上位がシュリンクしてるのは事実。自分の肌感覚とも合致する。
・欲しいものはだいたい手に入れた&アタリショックかもなあ。
・たぶん「出版不況」と同じで、クオリティに対する不信感が育ってるのではないかなと。金払いたくないんじゃなくて、払ってもいいものを見つけられない、っていう。
・アプリを紹介するブロガー的にも納得。
・私のも日々出る本数は変わってないけど、ランキングがだいぶ上に行きますな、最近。
・iPhoneユーザは増えているかも知れないけれども、増えたユーザは有料アプリを買っていないのでは(著者注:表現を変えて上記理由の4として追加させていただきました)
・なんとなくは感じてたけど、そんなにかぁ。
・そうそう、そんな感じ
・アプリは基本買い切りだからなあ、これでは継続して開発・改善するなんてモチベーション湧かないよなあ
・たくさん買うのはiPhone初めて買ったばっかりの時だし、買い換えの人は買わないし
・無料でそこそこなアプリがあればあえて有料に手は出さない、て人は多そう
・既存iPhoneユーザーがあまり買わなくなったのかな。自分もそうだが、必要なアプリはある程度揃ってしまって新規アプリ購入をしなくなってきた。
・指摘された点が全てと言えるが、ある程度定番アプリが行き渡って新規購入が減ってる実態はあるだろうなぁ。
・有用な、または楽しむためのアプリはデファクトがほぼ固まってて、その満足度の高さから購入意欲が減衰しているのでは。
順位<>売上 1.1(¥300)
カテゴリ: 仕事効率化, ビジネス
販売元: Masayuki Iwasaki(サイズ: 0.2 MB)
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[…] ■なんと! App Store の国内有料市場はここ1年で半分以下に縮小!?|What’s Iwasaki? -有料の世界はよくわかりません。 […]
> どの理由が有力なのか、あるいは他にも理由があるのか、今のところ分かりません(詳しい方がおられましたら、教えていただければ幸いです)。
僕も単なる思いつきですが、以前はてな匿名ダイアリーに「携帯売り場の者ですが、iPhoneが本格的にヤバいです」(http://anond.hatelabo.jp/20130326031038)という記事が投稿されまして…
まぁ、この記事の信憑性の問題もありますが、それを仮定しますと、
お金を使うアーリーアダプターがAndroidに流れ、そうでない層がフィーチャーフォンからiPhoneに流れてきたと言う事になるので
> iPhone ユーザーは増え続けているはずなのに…
の条件に合致して、尚且つ有料アプリの売り上げが減るという理由になり得るかなと思います。
僕の知人もスマホにしたけど、アプリは全然入れていないんだよねと言う人は何人か目にしますので、全く的外れという訳でも無い様な気がします。
貴重なご意見ありがとうございます。