セシウム以外の被曝の可能性について

公開日: : 最終更新日:2013/02/19 ブログ, 自然・科学・計測・原発, 開発・自作アプリ

スポンサード リンク

スポンサード リンク

最近の報道を見ると、外部被曝とセシウムに汚染された食品による内部被曝の2つが主な関心事のようです。しかしそれ以外にも被曝の可能性が考えられますので、いくつか書いてみました。アプリのサポート・サイトの緊急サイトに書き加えたものと同じです。

事故直後には、ヨウ素131の測定値がマスコミを賑わせましたが、2001年7月現在では、ほとんど報道されなくなりました。その理由は半減期が8日と短いためです。今後、福島第一原発から、ある程度の規模の新たな放出が起きない限り、検出例と測定値は減少していくもとのと思われますし、ぜひそう願いたいものです。ただし、事故直後には経口摂取または吸入摂取した可能性はあります。しかし、具体的な量の推定は今となっては非常に困難です。今後順次実施される個々人のホールボディーカウンターによる測定で、心配するほどの値が出ないことを祈ります。

ストロンチウム90、ウラン238、プルトニウム239などの核種の放出は、セシウム137に比べると桁違いに少ないと考えられていますが、放出されたことは間違いないでしょう。しかし、これらの測定には非常に時間がかかるうえ技術的難易度も高いので、測定しようとする研究機関が少なく、データが圧倒的に不足しているのが現状です。その数少ない測定値が小さい値だからといって簡単には安心できません。悪名高いプルトニウム239の場合ですと、吸入摂取の実効線量係数で比較して、セシウム137の約3000倍の威力があるからです。つまり、たった1ベクレルのプルトニウム微粒子を吸い込んだだけで、3000ベクレル分のセシウムを吸い込んだのと同じ影響があるという訳です。現在はセシウムの測定で手一杯なのは理解できますが、できるだけ早期に他の核種の測定も行い、その結果、仮に都合の悪い測定値が出た場合でも即座に公表してもらいたいと願うばかりです。

ウラン238が放出されたのなら、ウラン壊変系列に属するα核種の気体、ラドン222が土壌から大気中に出てくるはずです。専門家にはラドンの計測をしてもらいたいと思います。個人でも簡単に作れる検出器としては、エタノールとドライアイスを利用した拡散霧箱があります。霧箱内にひとつまみの土壌を入れれば、α核種が含まれているかどうか簡単に分かります。またビニール袋に土壌を1kg位入れて密閉しておいて、翌日ビニール袋内の空気を霧箱内に入れればラドンが出ているかどうかが分かります。私もネットで作り方を調べて、拡散霧箱を自作しましたが、材料は、タッパウェア、黒紙、ティッシュペーパー、セロハンテープ、サランラップ、LED懐中電灯と簡単に入手できるものばかりで、所要時間も1時間程度と、小学生の夏休みの宿題レベルです。測定には向きませんが検出感度は非常に高く、いろいろな形の飛跡は見ていて飽きません。ぜひ試されてはいかがでしょうか。

空間線量率が比較的高い地域では、外部被曝だけでなく、土埃の吸入摂取による内部被曝が懸念されます。地表に降り積もった核種を含む微粒子が、風や雨の降り始めで空気中に舞い上がり、それを肺に吸い込む可能性があるからです。拙作アプリ「内外被曝合算」の実効係数の上にある[i]ボタンを押すと、画面が切り替わって主な実効線量係数の一覧が表示されますが、上段の経口摂取の場合の係数と下段の吸入摂取とを比較すると、ほとんどの核種で吸入の方が大きな係数であることが分かります。セシウム137で数倍、ウランやプルトニウムでは数百倍にもなります。専門家の方には大まかでいいので、どの程度の吸入が事故直後に起こりえたか、また今後も起こりうるかを検証し公表していただきたいと願います。

空間線量率の測定は地上1mで行われることが多いですが、その場合、検出される放射線の大部分はγ線です(理由は透過力の違いと測定器の仕様のため)。しかし、地表に降り積もった放射性物質には、γ核種だけでなくα核種とβ核種も含まれます。β線は空気中での透過力が低く、α線はさらに低いため、大人の生活パターンで考えると、通常は無視してよいことになっています。しかし、例えば子供が泥遊びなどをして、泥が皮膚や衣服に付着した場合、β線あるいは場合によってはα線による「接触被曝」も考慮すべきでしょう。専門家の検証に期待します。

以上述べたことはあくまで可能性であり、実際にどの程度の影響を人体に及ぼすのかは、私の勉強不足とデータ不足のため、まったく分かりません。いたずらに不安を煽ることは私の望むところではありませんので、どなたか、しっかりしたデータと知識で、安全だと納得のいく説明をいただければ、直ちに訂正・削除いたします。

 


内外被曝合算 1.1(無料)
カテゴリ: ヘルスケア/フィットネス, メディカル
販売元: Masayuki Iwasaki(サイズ: 0.3 MB)

 

スポンサード リンク

スポンサード リンク

関連してなさそうだけど面白いかもしれない記事

天体写真の固定撮影で 恒星が流れず点に写る最大秒数の計算法 〜 レンズ焦点距離、画素数、撮像素子フォーマットとの関係

こんにちは、Iwasaki です。   天体写真の固定撮影とは? 本格的な天体写

記事を読む

no image

iOS 6.0.1 の変更点

こんにちは、Iwasaki です。 今日、iOS 6.1ベータ版が開発者向けに公開されましたが

記事を読む

サイト名を変えました & これまでのカメラ記事まとめ

こんにちは、Iwasaki です。   みなさま、夏休みはどうお過ごしでしょうか。

記事を読む

無料画像編集・加工アプリ GIMP でよく出る文字入力が出来ないバグの対処法

みなさんは、どんな画像編集・加工アプリをお使いですか? 本格的な画像処理をする人なら、Phot

記事を読む

初心者向け Exif 情報の危険性と活用法〜その2: iPhone での見方

こんにちは、Iwasaki です。   昨日の第1回では、危険性やその回避法につい

記事を読む

Comment

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

スポンサード リンク

スポンサード リンク
ようかん対決!とらやvs井村屋

  こんにちは、計測マニアのイワサキです。  

防犯カメラ ATOM Cam2 レビュー

  こんにちは、計測マニアのイワサキです。  

「ピタゴラスの定理」を図だけで証明

こんばんは、数学大好きイワサキです。 ずいぶん前に思いついた「ピ

虹メガネ(分光メガネ)のススメ

  こんばんは、計測マニアのイワサキです。  

超簡単! きな粉で作る納豆味噌のレシピ

  こんにちは、計測マニアのイワサキです。  

→もっと見る

Verified by MonsterInsights
PAGE TOP ↑