各国のCOVID-19状況の分析 (2020/03/22時点) その2 〜感染爆発期の致死率は信用できない

公開日: : 最終更新日:2020/03/26 ブログ, 健康, 自然・科学・計測・原発

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こんばんは、計測マニア イワサキです。
昨日にひきつづき、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の分析です。
元データは、日本経済新聞の特設サイト:新型コロナウイルス感染世界マップです。

 

1. 感染爆発期の致死率は小さく見積もられるので信用できない

昨日の24ヶ国を、致死率(カラム5)の高い順に並べた表です。

致死率とは、ある病気に罹患した場合、そのうち何%の患者が死に至るかという確率です。死者数を罹患者数で割ることで計算できます。COVID-19の場合、検査して陽性と分かって入院し、数日してから容体が悪化して死に至りますので、多くは検査の数日後から十数日後に死亡すると思われます。したがって本来は1ヶ月ほど待ち、治癒したのか死んでしまったのか、予後が決まった患者集団で計算すべきです。

ところが現在、その日の累計死者数を、その日の累計感染者数で割って求めて、致死率として報道されています。これでは感染爆発期の致死率を小さく見積もることになってしまいます。イタリアやスペインでは新規の感染者数が無視できないほど多く、その人数分の予後が分からないのに、一律「死ななかった」ことにして計算されてしまうからです。

そのことは、中国の経過を見るとわかります。下のグラフは、青が感染者数、赤が死者数です。両者は一見平行に見えますが微妙にズレています。黄色はズレを見るため、死者数を致死率0.04で割った値です。当然、右端でピッタリ重なります。

中国では感染爆発が起きたあと、週あたりの感染者増加率が徐々に下がって4倍を切った2/6には、見かけの致死率が極小の 2.01% を記録しました。上のグラフで、黄色と青の乖離が最大になっているところです。その後感染拡大が下火になった3/22時点の致死率、つまり真の値に近いと思われる致死率は、ちょうどその2倍の 4.02% まで上昇して、ほぼ安定しています。

このように、黄色の線はいったん乖離して、収束期に青線と重なるという経過をたどります。(それ以前の爆発初期に両線が近づく理由は、私には分かりません。)

韓国でも同様に、増加率が4倍を切った3/5には、見かけの致死率が極小に近い 0.61% となり、その後 3/22時点の致死率は1.17倍まで上がりました。このまま収束すれば最終的には2倍の 1.2% 前後に落ち着くのではないかと予想できます。

さてイタリアです。増加率のピークは過ぎ、3/13に4倍を切りました。この時の見かけの致死率は 6.7%、したがって真の致死率は2倍の 13.4% 前後ではないかと推測します。現時点での見かけの致死率 9% も驚きですが、さらに恐ろしい数字です。

スペインは、3/23時点で4倍を切りました。見かけの致死率は 6.0% なので、真の致死率は 12.0% くらいと推測します。

アメリカは未だに4倍よりかなり高い増加率なので、推測できませんが、他の欧米諸国も同様に、現時点での見かけの致死率よりもかなり高い値になる可能性があります。日本は逆に4倍以上になったことがないので、推測できませんが、低い増加率で安定しているので大差ないと思われます。他のアジア諸国も同様です。

 

2. 致死率の高い国は?

イタリア、イラン、スペイン、イギリス、オランダ、フランスあたりは、アジア諸国より高い致死率のようです。ただ、欧米の中でドイツは、飛び抜けて低い致死率です。

いずれにせよ、当初はインフルエンザの 0.1% に比べて、たかだか10倍の 1% 程度と見積もられていましたので、油断している人も多いかもしれません。しかし、これらの数字を見ると意外と凶暴なウイルスと言わざるをえません。

国による致死率の差は、様々な要因が複雑に絡んでいると思われます。ウイルスの株が国によって異なるのか、人種で致死率に差があるのか、年齢構成が異なるのか、医療が追いつかない国があるのか、などが可能性として挙げられます。さらに研究を進め解明してほしいと願います。

 
今日はこのへんで。
皆さんも正しく恐れてご自愛ください。
 

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