サルにもできる(?)霧箱の作り方 その2
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最終更新日:2012/08/27
ブログ, 自然・科学・計測・原発 霧箱
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こんばんは、Iwasaki です。
今回は前回に続き、霧箱の第2回目です。
【霧箱の歴史】
Wikipedia によると、最初の霧箱 (Cloud Chamber) は1897年にウィルソンによって発明されました。ウィルソン霧箱は膨張霧箱と呼ばれるタイプで、空気を断熱膨張させることで水蒸気を過飽和にします。これだと膨張させた一瞬しか観察できませんでしたが、1939年にラングスドルフが拡散霧箱 (Diffusion Cloud Chamber) を発明し、連続して観察できるようになりました。
【霧箱の原理】
霧箱で見える放射線の飛跡は、見た目も原理も飛行機雲によく似ています。飛行機雲ではジェット機の排気ガスに含まれる微小なホコリを核にして筋状の雲が発生しますが、霧箱では放射線によってイオン化された空気分子が核になるだけの違いです。
拡散霧箱では、水蒸気の代わりにエタノール蒸気を過飽和にします。容器の内側上端に置かれた布や紙にしみ込ませた液体のエタノールが蒸発し、蒸気が容器内に充満します。容器下面はドライアイスや液体窒素で低温に保たれているため、容器下層では過飽和となり液体の小滴、つまりエタノールの霧がさかんに発生して雲海を上から見た状態になります。ところがこの雲海のすぐ上、つまり容器のほぼ中央部に、過飽和なのに霧があまり発生しない層ができます。小滴ができるキッカケがないからです。この層にホコリなどが浮かんでいれば、それを核として小滴が形成され落下して行きますが、やがてそれらがなくなってしまうと、過飽和層(有感領域)が数mm 〜数cmの厚さになります。ここに放射線が飛び込むと、通り道にある空気分子に次々にぶつかってイオン化させ、それらのイオンを核として小滴ができますので、小滴が直線状に並ぶことになります。これが放射線の飛跡です。
【飛跡による放射線の見分け方】
●アルファ線 太くて濃い直線的な数cmの飛跡。α線はヘリウム原子核(陽子2個と中性子2個)なので重く、空気分子に衝突しても曲がりにくいので直線になりますが、透過力が弱いので、空気中では数cmで止まってしまいます。有感領域の上を飛んだ場合には、指くらいの太さの飛跡として見えます。
●ベータ線 細くて折れ曲がった飛跡。β線は電子であり、空気分子よりはるかに軽いので、衝突のたびに進路が曲がります。
●ガンマ線(画像なし) 細くて短い糸くず状の飛跡。γ線は光子による電磁波の一種で、荷電粒子ではないので空気分子をイオン化しませんが、通り道の分子から弾き出された電子線(2次β線)として観察されます。
●ミューオン 細くて長い直線的な飛跡。電子の約200倍の質量をもつ荷電粒子です。
次回以降、放射線がどこから来るのか、より良く見る工夫などを書くつもりです。
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Comment
即ブックマーク♪
いっそのこと、「サルにもできる簡単工作アプリ」
にしちゃうとかどうでしょうかw
ははは、いいかもですねw
ネタ帳の22番目に書いておきます。
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