頭の体操:キッチンスケールなどの電子天びんで最大ひょう量より重いものを計る裏ワザ6つを図解
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こんばんは、計測マニアの Iwasaki です。
キッチンスケールや体重計などの電子天秤(でんしてんびん)って、ずいぶん安くなりましたよね。昨日ナフコでキッチンスケールを見たら1500円くらいだったので びっくりしました。
今日のお題は、この電子天秤を1台だけ使って、秤量(ひょうりょう、計れる最大の重さ)より重い物を計るという課題です。
頭の体操をしたい方は、自分でいくつの方法を思いつくか、答を見る前にチャレンジしてみてくださいね。
では、私が思いついた6つの方法を書きます。
ここでは分かりやすい具体例として、重さは分かっていないけど実は 3.8kg の鍋を、秤量 2kg までのキッチンスケールで計る、という課題にします(実は先日これと同じ状況になりましたので)。
まず、3.8kg を 2kg 未満にするには、引き算で 2kg を引く方法と、2で割る割り算が考えられます。
まずは、思いつきやすい引き算的な方法から。
1. 上から鍋を引っ張る
具体的手順:
・ペットボトルに水を入れるなどして、2kg の錘(おもり)を用意する。もちろん、キッチンスケールを使って正確に計る。
・天井などに固定した滑車(かっしゃ)の左端に錘をぶら下げ、右端に鍋をぶら下げる。
・鍋をキッチンスケールに載せて計る。
・重さ 1.8kg と表示されるはずなので、錘の 2kg を足して、秤量結果 3.8kg とする。
実用度評価:70点
測定精度が下がらない点はメリットですが、滑車や金具など、道具だけで数千円になりそうなので却下。他にも、ヘリウム風船を鍋にくくりつけて軽くする方法などもありますが、入手が大変だし かさばり過ぎるので却下。
以下の5つの方法はすべて割り算的な方法です。測定精度は半分になります。
2. 「てこの原理」で重さを半分にする
具体的手順:
・細長い板を用意する。
・左端の下面に 高さ(5mm + キッチンスケールの厚さ分)のでっぱりを付ける。
・右端の下面に 高さ 5mm のでっぱりを付け、キッチンスケールに載せる。
・鍋を真ん中に載せて計る。
・重さ 1.9kg と表示されるはずなので、2倍して、秤量結果 3.8kg とする。
実用度評価:65点
長めの板が1枚あれば、あとはちょっとした工作でできるので簡単ですが、肝心の計測が不正確です。鍋には大きさがありますので、どこに(重心を)載せたのか正確には分からないからです。これを回避するには、吊り下げ式にするか、上載せ方式のままなら、ロバーバルの機構というものが必要になり、面倒臭そう。
3. 動滑車で重さを半分にする
具体的手順:
・動滑車の左端を天井などに固定して吊るす。
・動滑車の軸に鍋を吊るす。
・動滑車の右端をキッチンスケールに引っ掛けて計る。
・重さ 1.9kg と表示されるはずなので、2倍して、秤量結果 3.8kg とする。
実用度評価:70点
この方法、実は上に書いた吊り下げ式の「てこ」と本質的には同じなんです。滑車の半径が左右で 1 : 1 になってるために、半分の重さが計れるわけです。したがって、滑車の半径が小さいと正確性が低くなりそうなので、大きめの動滑車が欲しいところです。経費がかさみそうなので却下。
4. 30度の斜面に転がして横から計る
斜面上の物体にかかる重力を床方向と壁方向の2つの分力に分けることで、力を減らします。壁方向の分力は sin(角度) なので、30度のとき半分になります。
具体的手順:
・細長い板を二枚使ってL字型を作るか、本棚などを用意する。
・垂直な面に、両面テープでキッチンスケールを固定する。
・床板に円柱形の鉛筆やお箸を2、3本おいて「ころ」にして、その上に鍋を載せる。
・全体を30度傾けて計る。
・重さ 1.9kg と表示されるはずなので、2倍して、秤量結果 3.8kg とする。
実用度評価:95点
簡便性、精度ともに優れた方法です。実際、これを作って現在使用中。十分実用に耐えています。
5. 大小の注射器を2本使って圧力を半分にする
パスカルの原理を利用した方法。ピストンの面積比が 2:1 なら伝わる力も 2:1 になります。
具体的手順:
・ピストンの直径が √2 : 1 の大小の注射器を2本用意する。
・半分ほど水を入れて、両者をゴム管などでしっかりつなぐ。
・全体をキッチンスケールの上に宙吊りに固定する。
・大きい注射器の上に鍋を載せて計る。
・重さ 1.9kg と表示されるはずなので、2倍して、秤量結果 3.8kg とする。
実用度評価:85点
アイデアとしては、これが一番のお気に入りです。一度作ってしまえば計測安定度はいいはずですが、装置作成がちょっと面倒かも。注射器をつなぐゴム管をしっかり止めとかないとプシュ~って水が噴き出しそう。材料は、プラスティック製のディスポシリンジなら入手は簡単なんですが、ガラス注射器でないと滑りが悪いでしょう。今どき、こんなバカでかい注射器って売ってるんでしょうか。
6. 重力加速度 0.5G の環境下で計る
いくつかの具体例:
・高層ビルの高速エレベーターの下降し始めの加速度を 4.9m/s² になるよう調整し、その中で素早く計る。
・高層ビルの高速エレベーターの最高速の上昇からのブレーキ加速度を 4.9m/s² になるよう調整し、その中で素早く計る。
・ジェット機で 4.9m/s² になるよう急降下してもらい、その中で素早く計る。
・火星に行って計る。重力加速度 3.71 m/s²(0.379G)なので、測定後 2.64倍する。
実用度評価:40点
いったい何億円かかるんや、しかも自宅でできないじゃないか。却下!
みなさんはいくつ思いつきましたか? これ以外の方法を思いついた方は、コメント欄に書いていただければ嬉しいです。
上記の方法(すべてではありませんが)を使えば、キッチンスケールだけでなく体重計など別の電子天秤でも同様のことができますし、最大秤量を2倍にするだけでなく、3倍や10倍にすることも可能です。方法はご自分で考えられてみてください。
てことで、ではまた!
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