マニア向け ボケのすべて〜上級者編4:回折ボケ
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こんばんは、iPhone4S と Siri の誘惑を Dragon Dictation で紛らわせている Iwasaki です。
今日は、ボケ講座の第6話、おそらく最終回です。
初回から読んでいただいた皆さん、お疲れさまでした。
前回までに、後ボケと前ボケの計算式や、ボケ味の賞味方法を書きましたが、今日は、回折ボケ(または小絞りボケ)の解説をさらっと。
レンズの絞りをどんどん絞っていくと、被写界深度は深くなり、レンズの諸収差も少なくなって、パンフォーカス表現にはいいことづくめなんですが、世の中、そうそう美味い話は転がっていません。
解像力が落ちてくるんです。それが回折ボケと呼ばれる現象です。
もしこれがなければ、レンズ不要のピンホールカメラが無敵ってことになってしまいます。
↓ こちらの写真は上がピンホール、下が普通のレンズです。
回折は、光が波の性質をもつために起こる現象です。
港に防波堤があって、船が通るための狭い出入り口に外洋から波が押し寄せたとき、波が来た方角の延長線上にある船着き場だけでなく、その横の船着き場にも波が来ますね。
これが波の回折という現象です。波が直進だけでなく横漏れを起こすわけです。
どのくらい横漏れを起こすか、という計算式は、これまでの幾何光学ではなく、波動光学の話になって難しいんですが、結局、解像力の逆数である解像限界は、
解像限界 [μm] = 0.61 X 0.55 / NA = 0.3355 X √(1 + 4 X F^2)
(NA:開口数、F:有効F値)
になります。つまり、有効F値だけで決まります。
(有効F値の詳細は省きますが、マクロ以外ではF値と同じと考えていいです)
おおむね、F値に比例して大きくなる、つまり解像力は反比例で低下するわけです。
解像限界には、被写体の解像限界と撮像板の解像限界の2つがありますが、ここでは撮像板の解像限界を考えます。
上の式を使って、35mm判フルサイズで回折ボケが目立ちはじめると言われる、F22に絞ったときの解像限界を求めると、14.8μmになります。
一方、1000万画素機の画素ピッチは9.3μmです。
撮像板自体の解像限界は複雑ですが、ここでは単純に画素ピッチの2倍としましょう。
そうすると、解像限界と近い値になって、このあたりからボケ始めることが分かります。
さて、問題は撮像板サイズが異なる場合です。
フォーサーズは約半分のサイズですから、同じ1000万画素なら画素ピッチも半分です。
ですから、半分のF11あたりから回折ボケが目立ちはじめることになります。
もしフォーサーズでF22まで絞ると、250万画素で撮っても回折ボケが見えます。
iPhone4の背面カメラは3.85mmF2.4で、35mm判換算で32mmと言われています。
換算倍率は 32 / 3.85 = 8.3 倍ですので、同じ1000万画素なら F22 ÷ 8.3 = F2.6。
このあたりからボケはじめます。つまり開放しか使えないと。
しかしこの計算、なんだか面倒くさいですね。
ボケ円径と同じように、焦点距離に換算値を使うなら、F値も換算値を使えばいいんです。
フォーサーズのF11は換算値でF22、iPhoneのF2.4は換算値でF20です。
これなら簡単ですね。
見かけのボケ円径を考えるときも、回折ボケの限界F値も、換算F値を使えばいいわけです。
(メーカーは嫌がるでしょうけどw)
さて、ここまで読んでいただいた皆さん、本当にありがとうございました。
一応、6回分をまとめてみたいと思います。
1. (無限遠の点光源の)見かけのボケ円径は、レンズの有効径と同じ!
2. 撮像板サイズなどは、いっさい関係なし!
3. 計算が面倒だとか、画像で確かめたいなら、ボケ予測をどうぞ!
4. 有限距離や前ボケも計算したいマニアの方は、ボケ予測Proを使いましょう!
5. ボケ味のいいレンズは、解像力も高い!
6. 口径食消失F値こそが実用上の開放F値!
7. ボケ円径も、回折ボケも、換算焦点距離を使うなら、換算F値を使うべし!
8. デカいレンズやカメラには、それなりのメリットがある!
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Comment
8.明るいレンズは高いからと予算をケチり、ズームはさけ、
単焦点にはまり、けっきょくレンズの本数が増えて貧乏になる!(とかいってみたり)
単焦点でピントの芯が来てほしい位置に来た時っていいですよね…
ふーむ φ(..)メモメモ
普段三脚持ち歩かず手持ちでばかりとってるので、
絞りたくてもたいして絞れず、回折ボケはまだ気にしたことなかったです・・・
覚えておかなきゃ・・・
(って、回折ボケ気にする前にピントの芯合わせられるようにならなければ・・・
風景なんかの時はぜーんぜん外しちゃってるもんなぁ 苦笑)
Siriの誘惑ですかー。まだ日本語使えないですからねぇ。
音声解析はもう出来上がってると思います。
形態素解析ー>音から文字へー>文字から文節へ これも以前から使い物になります。
(Googleアプリの音声入力の解析なんか、けっこういい線いってると思います)
問題は、形態素ー>意味解析。ここがどこまでできるかですね…
形態素解析までは昔からフリーでsourceが転がってるのですが、
意味解析のエンジンってどんな構造してるんだろうか・・・
で、どこまで進化してるんだろうか・・・気になるところですね・・・。
いわゆるレンズ沼ですね。なかなか抜けられないんだ、これがw
AFピントずれ問題、現在はどうなってるか良く知りませんが、数年前は、キヤノンの純正レンズでも
2本に1本くらいは、必ず前ピンになるとか、ありましたよ。
サービスにボディとレンズを全部持っていって、しばらく預けてRAMだかROMだかを
調整してもらったら、たいていはバッチリ合うようになって帰って来ました。
一度出されてみては?
素通しに近い、AFカメラ用のファインダーではマニュアル合わせは難しいでしょうし。
(私は暗いファインダーに変えてますけど)
音声解析、すごい進歩ですね。
Dragon DictationはSiriと同じ解析をしてるそうで、日本語もできます。
ただ、返事したり動作したりはせず、テキストに変えてくれるだけなんで寂しいですが。
レンズ沼…恐ろしいです…特にあのLって文字がついたやつに
手を出した日には…なので、Lって文字を無視する習慣がつきましたw。
ピント調整、たしかにききますよね。40Dの時は出したんだなぁ…
保証期間内だと無料でやってもらえるんですよね。
んー…5dmk2、保証期間すぎたの中古で買ったからなぁ…
まだしばらくはMF併用で頑張りますw。
って、最近全然写真撮ってないなぁ…
そろそろ紅葉シーズンだからどこか行ってこようかなぁ…
保証期間おわると有料なんですか。
なんか理不尽な気がしますねぇ。
基準レンズ使って本体を調整して、本体にあわせてレンズ調整してで、
できる場所も機材も限られてるんだって言ったたかなぁ。
納期もけっこう長かった気がします。
前はセンサーの掃除なんかは
持って行くと無料で即日でやってくれましたが、
これも有料になっちゃったってどこかで聞いたなぁ…。
サービス有料にするなら本体の値段もうちょっと下げてもらえないものだろうか…んー…
ですよねぇ、まったく。
コメントの入れ子は3階層までなのかな。
返信のボタンがでませんが。
ってことで、変な場所にコメします。
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