マニア向け ボケのすべて〜上級者編1:有限距離のボケ円径と前ボケの計算法
スポンサード リンク
こんばんは、健康診断の3日前から禁酒できるのか心配な Iwasaki です。
ボケ講座初級者編、中級者編に引き続いて、今回は第3回、上級者編その1です。さすがに日本語で数式を書くのはつらいので今回から英文字を使います。
はい、数式きらいな方、ここで帰っちゃうんですね。寂しいですがさよなら~ さよならだけが人生さ。
さぁ、熱心なボケマニアの皆さん、気にせずガンガン参りましょう。
前回、[無限遠点光源がつくる見かけのボケ円径]を以下のように計算しましたよね。
[ボケ円径] = [焦点距離 ÷ F値]
これを英文字を使った数式で書きます。
D = f / F
(D:ボケ円径 f:焦点距離 F:F値)
(あ~ すっきりした)
この式を少し変形してみましょう。
F = f / D
この式どこかで見たことありませんか?
そうです、F値を定義した式です。Dは実は口径(正確には有効径)なんです。つまり、ボケ円径は有効径に等しいわけです。
有効径とはレンズの前玉の直径ではなくて、レンズの主点(絞りの位置)での直径です。つまりレンズを前から覗いて絞りを開いたり閉じたりして、開いたときの直径です。
広角レンズやズームレンズでは意外と小さく、単焦点望遠レンズだと大きいですよね。あの大きさこそが、ボケの大きさそのものなんです。人間の眼で言えば瞳孔(黒目の中のさらに暗い部分)の大きさに相当します。
あ、ちなみに脊椎動物の眼はカメラ眼と呼ばれますが、別にカメラを真似して眼を作ったわけではないことは、進化の歴史とカメラの歴史を比べればわかります。逆に眼を真似してカメラを作ったわけですから、眼球型カメラつまり眼カメラというべきです。
すみません、話がそれてしまいました。
ボケ円というのは、レンズ(または絞りに隠されていないレンズの部分)そのものが見えているわけです。ですから、絞り開放なら真円、6枚羽根絞りを絞れば六角形、レンズ直近に☆型の黒紙を置けば☆型、レンズにキズがあればそれも見えます。ちょっと変わったところでは、レフレックス(反射型)レンズだとドーナツ型になります。
前回、[有限距離の点光源がつくる見かけのボケ円径:B]も計算しましたよね。
B = (1 - a / c) f / F
(a:レンズから主被写体 c:レンズから点光源)
この式、そう難しくないですが、実は[レンズからの距離]なので、撮影距離とは少しズレます。撮影距離とはカメラに付いている「距離基準マーク」つまり撮像板からの距離なんです。
上の式の[レンズからの距離]を[撮像板からの距離]に変換してあげましょう。それには[撮像板からの距離]を使って[レンズからの距離]を表す必要があります。
a = { X + (X ^ 2 - 4 f X) ^ 0.5 } / 2
(X:撮像板から主被写体までの距離)
c = { Y + (Y ^ 2 - 4 f Y) ^ 0.5 } / 2
(Y:撮像板から点光源までの距離)
難しいように見えますが、
a ^ 2 - X a + f X = 0
および
c ^ 2 - Y c + f Y = 0
の二次方程式の解のうち大きい方です。
ついでに言うと、元々の式はレンズの幾何光学の基本の式
1 / a + 1 / b = 1 / f
です。
a と c の式を B の式に代入すれば、[有限距離の点光源がつくる見かけのボケ円径]が出ます。
開発中のボケ予測のプロ版(名称未定)では、撮像板からの距離 X と Y を入力すると、上に述べた式を使って後ボケの大きさを計算し、画像と数値で表示してくれます。
Q:前ボケの大きさも計算できる?
A: できます。なんとか。
U = { (a - f) c - (c - f) a } / F / c
(途中の計算は全部省略w)
この式の a と c を X と Y に変換すれば [主被写体より近い点光源がつくる見かけのボケ円径:U]が求められます。
(ふ~、やっと終わった)
今回も長くなったので、ボケ味、回折ボケなどは次回にします。
おつかれさまでしたぁ~
(さ、ひれ酒のもっ)
追記 9/30:
この計算方法を記事などにされる場合はリンクを張られるか、出典を明示されてくださいね。よろしくお願いします。
この計算方法を使ったアプリ「ボケ予測Pro」がほぼ完成しました。有限距離の後ボケはもちろん、前ボケも自在に予測できます。10月中旬にはリリースできる予定です。ご期待ください!
追記 10/18
アプリ「ボケ予測Pro」は、無事10/14にリリースされました。
どうぞよろしくお願いします。
ボケ予測Pro 1.0(¥300)
カテゴリ: 写真/ビデオ, ユーティリティ
販売元: Masayuki Iwasaki(サイズ: 1.2 MB)
スポンサード リンク
関連してなさそうだけど面白いかもしれない記事
-
頭の体操:キッチンスケールなどの電子天びんで最大ひょう量より重いものを計る裏ワザ6つを図解
こんばんは、計測マニアの Iwasaki です。 キッチンスケールや体重計など
-
マニア向け ボケのすべて〜上級者編3:ボケ円径の実測とボケ味の評価
こんばんは、レンズグルメの写真下手、Iwasaki です。 今回は実際に手持ち
-
iOS 6.0.1 の変更点
こんにちは、Iwasaki です。 今日、iOS 6.1ベータ版が開発者向けに公開されましたが
-
肉眼では見えない動きを見る タイムラプス動画は超楽しい!
こんばんは、レンズ沼の住人 Iwasaki です。 なにはとも
-
口内炎に飴療法が効きそうなので予備実験をしてみた
こんにちは、口内炎ができるとなかなか治らない Iwasaki です。
Comment
二次方程式の解の公式は…んー はるか昔に学校で… えーっとぉ…
空見てぼーっとしてたら、チョークが飛んできてぇ…
その時黒板に書いてあったような気がしないでもないわけで…
(´・ω・`) ぷしゅ~~~ 忘却の彼方…
数学落ちこぼれだった私にしてみれば ただただすごいなぁ と思うわけで…
ありがたく利用させていただきます φ(..)メモメモ
数式はお金と似てて、作るだけじゃ役にたちません。
使ってナンボですので、どんどん使ってやってください。
[…] この記事はこちらへ移転しました。 […]
[…] マニアにしか分からない、ボケのすべて(上級者編その1) Tweet この記事はこちらへ移転しました。 […]