武雄市の樋渡市長が 小学校1年生向けのプログラミング教育を撤回すべき5つの理由
スポンサード リンク
こんばんは、底辺開発者の Iwasaki です。
昨日のニュースで、毎度お騒がせの樋渡市長が武雄市立山内西小学校の1年生40名を対象に、タブレットPCを使って放課後にプログラミング教育をするんだとか。
とんでもない話です。
プログラミングの適性を理解していない
プログラマーにとっては常識と思いますが、プログラミングは個人の適性の差がとても大きい分野です。
つまり、プログラミングに向いてない人が、いくら教育を受け努力したとしても まともなプログラムを書けるようにはならない。しかも、プログラミングに向いてない人の割合は少なくとも過半数、もしかしたら大多数という調査結果があります(参考記事1、2)。
つまり、過半数の子供を小1でいきなり落ちこぼれにして、挫折感・劣等感を植え付ける事態が予想されます。
プログラミング能力なんて、数多くの能力のうちのたったひとつに過ぎないのに、多くの子供に無用な劣等感を与えるリスクを上回るメリットとは何なのでしょうか。
小学1年生の時間の貴重さが分かっていない
小1の子供にとっての1時間というのは、オトナの1時間とは比べものにならないほど貴重です。
その理由は、学習・記憶には臨界期があるからです。
小学生までは「無意味な暗記」が得意ですが、中学生くらいから難しくなります。「無意味な暗記」というと言い方は悪いですが、必然性のない恣意的約束事の体系という意味です。たとえば、言葉(あの果実がりんごと呼ばれる必然性はない)、漢字(日が昇る方角が東という漢字である必然性はない)、数字の書き方(8の字が八つを示す必然性はない)などです。小学生、特に低中学年は、これらの読み書きや計算の基本を丸暗記するための大事な時期です。
「鉄は熱いうちに打て」の言葉どおり、高校生に毎日何十もの新しい漢字を暗記させるのは至難の業ですが、小学校の中学年ならラクラクできます。つまり、この時期にこそ漢字を詰め込むべきなんです。
放課後の時間も貴重な時間です。家族や友人との人間関係、自然のなかで手や体を使って遊ぶことによる様々な経験や学習など。
そのような貴重な時間を、一市長の思いつきで奪われては たまったものではありません。
子供は実験台ではない
論理的思考力などの育成に、プログラミング教育が有用か検証するんだそうです。人さまの大切な子供を実験台にして。
プログラマーが論理的思考に強い傾向があるのは認めます。ただそれは、もともと論理的だった人がプログラマーの道に進んだだけという可能性が高いと思われます。
そもそも、どの程度真剣に検証するつもりなんでしょうか。40人程度の実験で簡単に検証できるとは思えませんし、当然、二重盲検法で行う必要がありますが、そういう話も聞こえてきません。また、仮に論理的思考力が育ったとして、その代償として他のどの能力がどの程度低下したのかも検証しないと片手落ちでしょう。
それでも、プログラミング教育で論理的思考力が身に付くというのなら、予備実験として樋渡市長自身が半年ほどやってみてはいかがでしょう?
そもそも、プログラミングって「教わる」ものですかね? 私は自学自習するもんだと思ってるんですが。
誰もがプログラマーになる必要はない
コンピュータはより多くの人が使えた方がいいでしょうが、誰もがプログラマーになる必要はありません。
いったい日本人の何パーセントがプログラマーになるんでしょう? そんな少数派の職業をピックアップする必然性をぜひ聞きたいものです。農家や大工さんの体験学習というんなら まだ理解できるのですが。
プログラマーになるのに早期教育は必要?
ピアニストのような英才教育が、プログラマーなどの論理系の職業にも必要とは、個人的にはどうも思えません。成功した個人開発者さんの多くが、子供の頃からプログラミングをしていたなんて話は聞いたことがないですし。
私の場合、小中高でプログラミングどころかパソコンすら触ってません。中年をすぎてからプログラミングを自学し始め、1年半ほどの間に十数本の iPhone アプリをリリースして40万ほどダウンロードいただきました。この位ではとても成功者とは言えませんが、プログラマーの端くれではあると思います。
もし私がプログラミングを7歳から「教わって」たとしたら、もっと素晴らしいアプリを世に出せたのでしょうか? もはや知るすべはありませんが、大したことなかったんじゃないかという気もします。
ただ一つ譲れないのは、あのころ野山を駆けまわった経験と記憶を奪われるのは絶対イヤだということです。
以上、武雄市の関係者に 小学校1年生向けのプログラミング教育を撤回していただきたくて、思うところを書いてみました。
てことで、ではまた!
スポンサード リンク
関連してなさそうだけど面白いかもしれない記事
-
テストフライトのチームに新メンバーを追加する方法
こんばんは、最近アプリのリリースが停滞気味の Iwasaki です。 水面下でやっ
-
コリメート撮影でホークス選手を撮ってみた
こんにちは、Iwasaki です。 今日はスポーツ、天体、バードウォッチングなどで便利な撮影法を紹
-
福岡にホタルの季節到来! 時期、時刻、場所は?
こんにちは、夜中に徘徊するのが好きなイワサキです。 自宅近くの田んぼに、今
-
ボケ講座番外編1:ボケ円径、被写界深度、レンズ価格の関係
こんにちは、解析大好きの Iwasaki です。 2年ほど前に
-
新作 iPhoneアプリ「落下距離計」リリース!
こんにちは、生来の完璧主義を断舎離しようと思っている Iwasaki です。