米CR誌が行った iPhone 6 Plus の3点曲げ試験が非科学的である4つの理由

公開日: : 最終更新日:2014/10/03 ブログ, 自然・科学・計測・原発

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こんにちは、計測マニアの Iwasaki です。
 

「iPhone 6 Plus をズボンの前ポケットに入れていたら曲がった」
「両手で曲げようとしたら簡単に曲がった」

などの証言や動画が話題になっています。ツイッターの #BendGate というハッシュタグで沢山見ることができます。

それを受けて、米国で大きな影響力を持つと言われる非営利の消費者団体が発行する情報誌「Consumer Reports」が、現地時間の9月26日に強度テストの結果を発表しました。

 Consumer Reports test results find iPhone 6 and 6 Plus not as bendy as believed 筆者訳:Consumer Reports のテスト結果によると iPhone 6 と 6 Plus は考えられているほど曲がりやすくない

consumerreports

この記事の中で、上記の証言や動画に対して「We don’t like unscientific」と表現しています。つまり、それらは非科学的である(ゆえに我々が科学的なテストをする)と。

テストの結果を一部抜粋しますと、iPhone 6 が変形し始める荷重は70ポンド、6 Plus は90ポンド、iPhone 5 は130ポンド、鉛筆4本が折れるのは80ポンドだそうです。

結論として、「考えられているほど曲がりやすくない」「鉛筆4本を同時に折ることができない人は、iPhone 6 Plusも曲げられない」としました。
 

日本のサイトの紹介の仕方

日本では、このサイトで肯定的に紹介されています。

 ベンドゲート(iPhone 6 Plus曲がる事件)終了のお知らせ:ギズモード・ジャパン

こちらのサイトは中立的に紹介しています。

 米コンシューマー・レポート、「iPhone 6/6 Plus」や他のスマートフォンの3点曲げ試験の結果を公開:気になる、記になる

 iPhone 6 Plusは「騒がれているより頑丈」とConsumer Reportsが報告:ITmediaニュース

逆に、こちらのサイトは否定的に紹介しています。

 iPhone 6はiPhone 5の約半分の強度しかないことが実際のテストで判明:GIGAZINE

ツイッターの反応をざっと見渡してみると、肯定的4割、中立的5割、否定的1割という印象でしょうか。

さて、どれを信じればいいのか?
私は、疑ってかかるのがメディアリテラシー的にベターだと考えます。

実際に記事を読んでみると、とても非科学的だなと感じました。
 

私が非科学的だと思う4つの理由

(1) 最も弱そうなボタン部分を測っていない

(2) スパン、つまり 2つの支持点間の距離が計測ごとに変化している(画像から計測したところ、5 が97mm、6 が114mm、6 Plus が133mm、鉛筆が137mm)

(3) 3点曲げ試験は、せん断力がゼロになる点がないので、曲げモーメントだけを計測できない

(4) 仮にデータが正しかった場合、iPhone 5 と比べてかなり弱いという結果を無視して強引な結論を導いている
 

計測マニアではあるものの、材料工学の専門家ではない私ですら、4つも理由を挙げられるくらいなので、もし専門家が見たら、お話にならないレベルかもしれません。

確かに、計測せずに単に手で曲げた動画などに比べれば、一見マシに見えます。

しかし、きちんと管理され妥当性と再現性のある計測方法で得られたデータではないので、科学的とは言えません。

計測結果を数値で提示されると、それだけで科学的と感じてしまい、疑うことをやめてしまう人が多いことにつけこんで、それを利用したのだとしたら、むしろ悪質と言わざるをえません。

実際、多くの人がすんなり信用してしまったように見受けられます。
 

結局 iPhone 6 Plus は曲がりやすいのか?

この計測方法で得られたデータで科学的に言えることは、「上記のスパンで各デバイスの中央に荷重をかけたら、この荷重で変形し始める」ということだけです。

曲がりやすいとも曲がりにくいとも言えません。

鉛筆4本を折ることができない人でも、iPhone 6 Plus のボタン部分に力が集中する持ち方をすれば曲がる可能性はありますし、逆に iPhone 5 が倍近く強いとも言えません。狭いスパンで計測すれば、それだけ曲がりにくいからです。

正しい結論を得たいのなら、実験の組み立て自体を一から見直す必要があるでしょうね、曲がりやすさの定義も含めて。
 

まとめ

ネット上のオーサライズされていない記事を読む機会が増えた現在、我々読者としては、やはり疑ってかかる姿勢が大切だ思います。

元記事を鵜呑みにして紹介記事を書くのも、それを読んで鵜呑みにするのも、どちらも非科学的な態度と思う次第です。
 

ちょっと辛口すぎたでしょうか?

てことで、ではまた!

 

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