サルにもできる(?)霧箱の作り方 その4

公開日: : 最終更新日:2013/02/19 ブログ, 自然・科学・計測・原発

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こんにちは、Iwasaki です。

今回は、第3回に引き続いて霧箱シリーズ第4回(おそらく最終回)、よりよく見るための工夫について書きます。

 

【照明の工夫】

まずは部屋を薄暗くすることが先決でしょう。真っ暗にする必要はありませんが、昼のように明るいと見にくいです。

もっと重要なのは、照明をどこからどの向きに当てるかです。霧箱で見える飛跡は、飛行機雲や湯気と同様に液滴の集合ですから、湯気がよく見える条件を考えればいいわけです。液滴で散乱した弱い光を見るには背景が白ではダメです。黒バック、つまり暗視野照明法が最適です。背景をより暗く、液滴をより明るく、がポイントになります。

照明光は明るいに越したことはありません。しかし、照明光が明るいほど、照らされるタッパの内壁や床もその分だけ明るくなりますので、無闇に明るくしても見やすくはなりません。むしろ方向で工夫しましょう。

タッパの中ほどの深さに有感領域ができますから、そこを重点的に照らせばいいんです。つまり横壁の中央付近にライトを水平に向けて設置します。このときライトから出るビームがあまり広がらずに平行光線に近いほうがベターです。そうでないと、床の黒紙や有感領域の下の雲海が照らされてバックが明るくなります。ガラス容器を使う場合は別ですが、樹脂タッパの場合は透明に近いもの(ただし耐冷凍)が散乱を防ぐ意味でベターですし、照明が当たる向こう側の内壁には黒紙を貼らないと背景が明るくなってしまいます。

 

【目線の工夫】

観察はどの方向からするのがいいでしょうか?

微小な液滴からの散乱はミー散乱が主体です。ミー散乱は照射方向の前後に強く、横方向には弱いので、真上から観察すると散乱光はあまり見えません。ライトのすぐ上、つまりタッパのヘリに目が来るようにして、できるだけ浅い角度で斜めから有案領域を見るとよく見えます。ライトの高さも調節してよりよく見える位置を探しましょう。ライトの反対側から見る手もありますが、ライトの直接光が目に入らない工夫が必要です。

 

【冷却の工夫】

細かく砕いて、タッパの底面に密着させた方がよいそうです。エタノールをたらしてジュクジュクのかき氷状態にするよいと書いてあるサイトもありました。

発泡スチロールのトロ箱を半分位の深さに切って、その中に冷却剤を入れ、タッパに合わせてくり抜いた蓋をすると、冷却材の持ちも良くなりますし、凍傷の危険も減ります。

私自身はドライアイスではなく液体窒素を使っています。その場合、温度が低すぎて床面のエタノールが白く凍ってしまうので、上げ底を置いてその上に黒紙を敷いています。

 

【静電気の除去】

塩化ビニールの水道管を50cm 位の長さに切って、ティッシュで擦って静電気を発生させ、霧箱の上面をなぞって内部の静電気を除去するといいと書いたサイトがありましたので試してみましたが、あまり効果は実感できませんでした。

 

【蓋などの工夫】

ラップを蓋に使うというアイデアは、素晴らしいと思います。薄いので部屋の熱が伝わりやすく、霧箱の上下に温度差ができやすいし、しかも結露で曇ることもありません。ただ、放射線源を挿入したい場合は、ヘリ付近をセロテープで補強してから穴を開けないと簡単に破れてしまいます。

板ガラスを使うと線源の出し入れなどには便利ですし、写真を撮るのにも安心です。ただ、この場合は、結露が起きることが多いので、ドライアーでときどき暖める必要があります。ドライアーを使うと内部の温度も変化し、有感領域が厚くなるのか、見える飛跡が急に増えることがあります。ラップを使う人も、このドライアー刺激を試す価値はあると思います。

 

【放射線源の工夫】

第1回で書いたマントルが一番入手しやすい線源ですが、他にもいろいろあります。

・アトムレンズ

1950年代から70年代にかけて、ライカのメーカーであるLEITZを皮切りに国内外のメーカーがカメラ用や顕微鏡用のレンズにトリウムを配合して性能を上げようとていました。私が持っているPentax SPに付いていた標準レンズSuper-Takumar 55mmF1.8 は後玉にトリウムが添加されていて、ガイガーカウンターに密着させると3.5 μSv/h になります。ちなみに私が持っているマントルは0.5 μSv/h 程度です。東電事故の土壌の面状の汚染とは異なり、これらは点状の線源ですので、距離の二乗に反比例して減衰します。2mも離れれば自然放射線量と同じ位です。

 

・ウランガラス (黄色っぽい蛍光色のビー玉とかグラスとか)

 

・各種の鉱石 (モナズ石、燐銅ウラン鉱、閃ウラン鉱など)

 

・大気中のほこり

掃除機のホースにティッシュを輪ゴムで取り付け、30分ほど大気を吸引します。大気中に浮遊しているラドンの娘核種が吸着します。コンクリートの地下室や床下からは結構な線量が出るそうです。

 

・夜光塗料、蛍光灯のグロー管、煙検知器など

以下のサイトが参考になると思います。

夜光時計、蛍光灯点灯管、煙感知器など日用品への放射性同位元素の利用

 

4回シリーズ、読んでいただいたみなさま、ありがとうございました。

霧箱では線量の測定はできませんが、放射線に興味を持たれている方は、ぜひiPhoneアプリ、内外被曝合算をダウンロードして使ってみてください。今のところ無料です。

 


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カテゴリ: ヘルスケア/フィットネス, メディカル
販売元: Masayuki Iwasaki(サイズ: 0.3 MB)

 

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Comment

  1. 霧箱シリーズ完結!

    私一人じゃ絶対無理だw
    誰かに付き合ってもらおう♪

    連載、教えてくださってありがとうございます^^

    • Iwasaki より:

      おつきあいいただき、ありがとうございました!

      写真を撮るにはいろいろ工夫がいりますが、見るだけなら適当で大丈夫ですよ。

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