COVID-19分析その3〜増加率による感染爆発の判断と暗算法
公開日:
:
最終更新日:2020/04/06
ブログ, 健康, 自然・科学・計測・原発
スポンサード リンク
こんにちは、計測マニアのイワサキです。
今回もコロナ関連です。
世界各地で都市の封鎖が相次ぎ、東京も封鎖の可能性が騒がれています。ニュースなどで首長や政府関係者の発言を見ると、「感染爆発が差し迫っている」とか「極めて重要な時期」などと危機感をあおる言葉をやたら使ってはいますが、理系人間から見ると、なんの具体的根拠も示しておらず非常に不満です。どの指標がどの値になったときに感染爆発といい、どの値なら差し迫ってるのかを明らかにしてほしいと思います。
指標としては、感染者数やその増加数ではなく、増加率が妥当でしょう。判断の目安となる値としては、「3日前からの増加率が2倍を超えるなら激しい感染爆発が起きている」という記事を散見しますので、今回は便宜的にこの値を「爆発」の目安として使うことにします。
さて3日で2倍になる指数関数とはどんなものでしょうか。
y = 2 ^ ( x / 3 )
と表すことができます。ゼロ日目に 1 だったものが x 日後には y になるという意味です。
1日あたりの増加率は 2 ^ ( 1 / 3 ) = 1.25992 になります。
1週(7日)あたりの増加率は 2 ^ ( 7 / 3 ) = 5.03968 です。
つまり、前日の数字より 26% 以上増えていたら感染爆発です。1週間ごとに約5倍づつ増えていき、3ヶ月ちょっとで世界人口と同じ70億に達します。これが最悪のシナリオ。
しかし実際に、中国、韓国、イタリア、イラン、フランス、イギリス、ドイツ、アメリカ、その他、多くの国が増加のピークの頃、1週間から2週間にわたって、この値を超えていました。アメリカでは、今でも 2 以上です。一方、イタリア、スペインなどは、増加率のピークは過ぎ、3/25現在のデータでは、1.5程度に下がっています。しかし絶対値が大きいので、まだまだ中程度の爆発中と言っていいでしょう。そこで、3日ごとの増加率が 2 より小さいが、√2 = 1.41421 よりは大きい場合に「危機」と呼ぶことにします。また、それよりは小さいが、√2 のさらに平方根 = 1.18921 よりは大きい場合には爆発の前兆または余韻として「警戒」と呼ぶことにします。それ以下は、なんとか抑制しているとし、限りなく 1 に近づいたら収束しつつあるということになるでしょう。
このように指標と目安の値を決めたところで、実際に世界の死者数(左)と、日本の感染者数の推移(右)を見てみましょう。
「爆発」が赤、「危機」が薄赤、「警戒」が、黄色です。色付きカラムの3つのうち真ん中は、先ほど説明した3日ごとの増加率です。つまり、[当日の数] / [3日前の数]で計算しました。左のカラムは1日ごとの増加率、つまり[当日の数] / [1日前の数]、右のカラムは7日ごとの増加率、つまり[当日の数] / [7日前の数]です。色のつけ方も、それぞれに応じて等価になるように設定しています。
まず、世界の死者数ですが、2月頃には中国の爆発がありました。中旬に黄色の警戒レベル、下旬に白になるまで落ち着き、収束するかと思いきや、3月中旬から欧米を中心とした爆発が相次いだため、再び黄色の警戒から薄赤の爆発になっています。さて、ここで注目したいのは、1日増加率、3日増加率、7日増加率の推移です。日数が多いほど明らかにタイムラグが大きく、鈍い動きになっています。しかし逆に1日増加率は敏感に反応する分、ノイズの影響が見えます。警戒や危機の判断に使うと勇み足をしてしまいそうなので、3日増加率くらいが妥当かもしれません。
次に、右側の日本の感染者数を見てみましょう。2月上旬は、数字が20以下なのでノイズが大きく、あまり参考になりません。2/13あたりから10日間くらいにわたって、危機に陥っていたことがわかります。その後、収束しそうになったのですが、3/24から1日増加率において再び警戒レベルになっています。ノイズの影響かもしれないので、3日増加率を見ると、やはり3/25から警戒レベルになっているので、かなり信用できそうです。数日後に7日増加率が黄色になったら、ほぼ間違いないでしょう。
したがって、東京など新規感染者が急に増えた地域では、徹底した対策をすべき時期と言えます。ただし、その効果が見えてくるのは、1〜2週間先になるでしょう。
最後に、爆発なのかどうかを簡単に暗算する方法を紹介しておきます。毎日のニュースで沢山の数値がでてきますが、こういう表現が多いですよね、「スペインでは今日あらたに700人の死者が出て累計で3400人になりました」など。爆発なら前日の26%、およそ1/4以上増えます。つまり、4 が 1 増えて 5 になるわけです。ニュースでは 4 の数字は言わず、 1 と 5 しか言いません。なので、今日の新規分が今日の累計の 1/5 = 2割以上であれば爆発と判断できます。スペインの場合だと、3400 X 2 / 10 = 680 が2割であると暗算し、700 はそれより多いので、スペインの死者数は爆発していると言えるわけです。
ちなみに、イタリア、スペインの致死率、私の推測した 12〜13.4% にだんだん近づいていますね。予想が当たったとしても、ちっとも嬉しくはないんですが。
ではまた!
スポンサード リンク
関連してなさそうだけど面白いかもしれない記事
-
デジタル一眼を買った初心者が最初にすべきこと:その3 絞りの効果を知る
こんにちは、Iwasaki です。 前回までに、初心者は単焦点
-
ちょっと変わった私の蚊対策いろいろ
こんにちは、生物多様性には賛成だけど、蚊だけは絶滅して欲しい Iwasaki です。
-
フルサイズのイメージセンサー(撮像素子、撮像板)のメリット その2:光量不足・拡大に強い
こんにちは、Iwasaki です。 前回は、ボケ表現を使うなら
-
デジタル写真の最大の弱点は信頼性!?
「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり」 こんにちは、Iwasaki です。
-
食べログのアップデートで Google Maps との親和性がさらにアップ
こんにちは、最近は食べログと Google Maps の記事が多い Iwasaki